【藤野英人さん第1回】趣味から仕事、仕事から趣味、すべてつなげて考える

小山龍介によるインタビューシリーズ。今回はレオス・キャピタルワークスの創業者、藤野英人さん。ファンドマネジャーとして豊富なキャリアを持つ藤野さんが、ビジネスパーソンが仕事をするうえでの大切なことを縦横無尽に語った。野球談義から、病気になって学んだことまで、その幅広い考え方の根本にあるものとは?

おやじギャガーでドラゴンズファンなんです

──藤野さんの本『スリッパの法則―プロの投資家が明かす「伸びる会社・ダメな会社」の見分け方』 (PHP文庫) が出た時にとても感銘を受けました。次の『もしドラえもんの「ひみつ道具」が実現したら タケコプターで読み解く経済入門』(阪急コミュニケーションズ)も楽しく読ませていただきました。

どうもありがとうございます。

──今のサラリーマンは、先が見えなくて思考停止状態に陥っているように思えます。藤野さんの思考法は、そこで一歩踏み込んで深く考え、そこに余裕やセンスを感じます。そういうお話をいろいろ伺えたらと思い、インタビューをお願いしました。

分かりました。

──最初に伺いたいのは……これ、まったく関係ない話ですけど、藤野さんのツイッターを拝見していたら、ドランゴンズファンだそうで。

ええ、ドラゴンズファンですよ。僕の名刺の裏に趣味や自分がやっていることなんかをたくさん書いてありまして。

(名刺を裏返して)「おやじギャガー」とかね(笑)。あ、「ドラゴンズファン」って書いてない。今度、書かないといけない。

──実は僕もドラゴンズファンなんですよ。

そうなんですか!それは名古屋に関わりがあるの?

──生まれは福岡ですが、中学の時に愛知に引っ越しをして。

へえ。

──ただ、当時はそんなにファンではなかったんです。落合監督になってからファンになって。

名古屋に住んでいる時は素直になれなくて広島ファンだった

じゃあ、僕と同じパターンだ。僕、中学高校と名古屋だったんですけど、その時は広島ファンだったんですよ。へそ曲がりで。

──へえ(笑)。

東京に出てきたら、ドラゴンズファンになった。たぶん本当はドラゴンズが好きだったんだと思うんですよ。でも、若かったから何か素直になれなくて。

──アハハ。

「素直であることが敗北だ」みたいなところがどこかあって、「みんなに流されるのがイヤだ」と思ってたんですよね。

でも、最近は「別に好きであればいいじゃん」って思うようになった。流されるも何も、みんなが好きでも僕は好き、みんなが嫌いでも僕は好きってね。自由でいいんじゃないかと思い始めました。

──大人になったわけですね(笑)。

ええ(笑)。

──今、プロ野球が面白いですけど、一方で野球離れも叫ばれています。僕はドラゴンズファンとして、プロ野球ファンとして、何か野球の面白い見方があるんじゃないかと思っているのですが。

僕は、落合監督ってすごいなあと思っているんです。

『マネーボール 奇跡のチームをつくった男』(ランダムハウス講談社)というオススメの本があるんですよ。これはベストセラー作家のマイケル・ルイスさんが書いた本で、お金の本でもあるし、野球の本でもあるし、投資の本でもあるんですね。

要するに、データをどのようにして見るのかというところに新しく光を当てた本なんです。

僕、落合監督は『マネーボール』のビリー・ビーン(米オークランド・アスレチックスのジェネラル・マネジャーで、かつて選手だった)にすごく似ているなと思うんですね。モチベーションを重要視することと、データを重要視すること。この2つをとても大切にしている。

落合監督って、意外と選手のことを悪く言わないんですよね。選手が失敗した時には監督やスタッフのせいにする。

一方で、一般論としてはすごく厳しいことを言うんですよ。「競争で負けていくヤツは仕方がない」みたいな。でも、個別につるしあげるようなことはあんまりやらない。実はすごくいいマネジャーじゃないかなあと思うんですよね。

落合監督の分析本があれば売れる

だから僕の場合は、まず落合監督が興味深いんです。でも、意外と落合監督についてきちんと分析した本って出てないですよね。

──そうかもしれませんね。

野村(克也)監督とか、長島(茂雄)、王(貞治)さんは結構、本が出てるんだけど、落合監督というものをクールにカッコよく分析した、選手時代と監督時代の本ってないんじゃないですかね。

たぶん、背景には彼自身の考え方があるように想像します。「結果で見ろ」とか、「プロセスをベラベラしゃべるのは良くない」といった考え方が。

でも、「ザ・落合」みたいなことをしっかり書いた本があったら、売れるんじゃないかなあ。売れるというか、興味深い本になるんじゃないかなあとよく思います。

だから、僕はドラゴンズファンなんだけれども、落合ファンなんですよ。

──よく分かります。

あとは、プロ野球の面白さが分かるには、とりあえずどこかの球団のファンになることが大事ですよね。ファンになって一喜一憂する。勝った負けたというのを生活の一部として楽しむ。

知り合った人が同じ球団のファンだって分かっただけで、なぜか同士みたいな感覚になるし。

──ええ(笑)。

やっぱりタイガースファンはキテるなあ

この間、驚愕したんですよ。ウチの広報担当者がタイガースファンなんですけど、球場でプーッと吹く風船があるじゃないですか。あれ、飛ばすと落ちてくるでしょ。阪神ファン同士は仲間だから、またプーッと吹くらしいんですよ。「全然大丈夫」みたいな感じで。

──そうなんですか。

落ちてきた風船に唾がべっとり付いてる。あれ、気持ち悪くないんだって。仲間だから。

──へえ(笑)。

それを聞いて、やっぱりタイガースファンはキテるなあと思ってね。

──ハハハ!

それはでも素晴らしいですよね。それがファンというかね。仲間になるとか、一体になるとか、一喜一憂するとか。もちろん、野球そのもののゲーム性や奥深さ、戦略性なんかもすべて楽しめますよね。

──はい。

これは野球に限らず、サッカーでもバレーボールでもそうだし、どんなスポーツにもゲームがあって、人と人が対戦するということになると、必ず戦略があり、そこに人間の心理があって、ドラマが生まれてくる。仕事でも何事でも通じると思うんですよね。

野球を見ていても仕事につながることがあるし、仕事をしていても野球につながったりする。すべてがリンクしていると思うんですよ。

リンクしていることを自覚して、今、やっていることをすべてにつなげて応用していくという姿勢が大切だと思います。

仕事は仕事、趣味は趣味って分けて考えるのもいいんだけど、仕事から趣味、趣味から仕事と常につなげて、それぞれで学べることをそれぞれに応用していく。そうすると、いろいろな発見や楽しみがあるんじゃないかな。

藤野 英人
1966年生まれ。
90年早稲田大学法学部卒業。
レオス・キャピタルワークス「ひふみ投信」ファンドマネジャー。東証アカデミーフェロー。明治大学非常勤講師。

野村アセットマネジメントを経て、96年ジャーデン・フレミング投信・投資顧問(現JPモルガン・アセット・マネジメント)に入社。2000年にゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント・ジャパン・リミテッドに入社。中小型・成長株ファンドの運用にあたる。2003年レオス・キャピタルワークスを設立、現在に至る。
著書に『スリッパの法則―プロの投資家が明かす「伸びる会社・ダメな会社」の見分け方』 (PHP文庫)『もしドラえもんの「ひみつ道具」が実現したら タケコプターで読み解く経済入門』(阪急コミュニケーションズ)『ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義』(PHPビジネス新書)『【図解】スリッパの法則 5000人の社長に会ったプロが教える!伸びる会社vs危ない会社の見わけ方』(PHP研究所)がある。

Ryusuke Koyama

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